
伊豆半島周辺をホームとしている大物投げ釣り師の私にとって、伊豆諸島は憧れの釣り場であり、特に伊豆大島と神津島は魚種の多さや魚の大きさ、魚影の濃さに魅了され、頻繁に足を運んでいる。
今年の5月中旬以降、神津島在住の友人(珍魚ハンターyu)から毎回釣行時にハマフエフキを釣り上げているとの連絡を受けており、その友人は6月初旬には10kgに迫る大型を釣り上げた。それを聞いては行かなくては!と遠征の準備を開始。その最中にオルルド釣具から発売された新作リール「スーパーゴリルド10000」のweb広告が目に止まった。キャンペーン価格で安価だったこともあり購入。強靭なドラグ力との噂も耳にしたのでドラグフルロックでゴリ巻き専用にPE8号を巻いた。
待ちに待った遠征予定日。伊豆周辺の波予報は凪だったので車で下田まで向かい、神新汽船「フェリーあぜりあ丸」に乗り込み神津島へ向かった。12時に前浜桟橋に到着し、まずは岩礁が広がる堤防右側からスタート。明るい時間帯のターゲットはメイチダイ。伊豆諸島のメイチダイは良型揃いで臭みもなくとても美味。タマン針等は大き過ぎるので、市販のカレイ仕掛けを使用し、小さめにカットしたイカ短を針に付けた。PE3号を巻いたパワーエアロ プロサーフを15サーフリーダー405cxに装着し、80m程先の岩礁が切れた先の砂地に投げ込む。竿は2本体制。もう1本は同じく15サーフリーダー405cxにスーパーゴリルド10000をセット。こちらはドラグをきつく締め、重しにクーラーボックスと繋げた短めの尻手ロープを装着しアタリを待つ。(通称フエフキタックル)。釣り開始後3時間はウツボが釣れ続くだけであったが 15時半過ぎ、上潮4分に差し掛かった頃にカレイ仕掛けを付けた竿のドラグを逆回転させる魚のアタリが出始めた。竿先の様子を確認しながらドラグを締め合わせると尾鰭のある魚の引き込み。カレイ針の強度が心配になる強い突っ込みに少しドラグを出しながら寄せると狙い通り良型のメイチダイだった。

針掛かりしなかったアタリを挟み、同サイズをもう1尾釣り上げる。そしてメイチダイを血抜きし、仕掛けを打ち返していた時だった。突然フエフキタックルに本命らしきアタリが出た。予想以上の突進を受け、三脚がずらされ繋げていたクーラーも跳ね上がり竿はガシャんと地面に叩きつけられた。一瞬の出来事に慌てて竿を掴んだがそこで冷静になった。もう既に魚信がなくなっていたからだ。悔しいが、対策が甘かったのだ。その後はウツボだけが釣れ続け、時刻は18時を過ぎ夕暮れ。仕事を終えた友人と合流し、釣果が連発しているという左側の砂地のポイントへ移動した。
こちらのポイントに移動してからは全くアタリがなくウツボに悩まされることはなくなった。1度だけウツボが掛かり途中で針から外れたが、友人曰く今まで全くウツボは釣れたことはないという程少ないらしい。その助言を受け、ウツボを釣った際に傷付いたハリスを交換する。ハリスにナイロン30号を使う理由として、ウツボを2.3回釣っても強度的に耐えてくれる利点があるが、傷が無いに越したことは無い。そして狙いの満潮から下げに入った時間帯(20:30頃)。その交換したばかりの仕掛けにハマフエフキが食いついた。少し竿から離れた場所にいたため合わせるのに間が空いたが、砂地を大暴れしていた為向こう合わせが効いているようで竿が2度3度と三脚の上でシーソーになっている。急いで尻手を外し合わせを入れ巻き始める。砂地で掛けたので引きを楽しもうと少しドラグを緩めにしてやり取り。時折力強く引き込みドラグを鳴らす引きは間違いなく本命。引きが弱まったところで一気にゴリ巻きで距離を詰めフィニッシュ。玉網に納め堤防に上げた。スーパーゴリルド10000で仕留めた最初の本命。途中強引に巻くシーンもあったが巻き心地が滑らかでガタ付きやブレは一切感じず。サーフリーダーのリールシートに装着しフィット感も優れている。サイズは68cm 4.4kg。納得の行くサイズであった。

前に1度宿に向かいひと休み。そのまま就寝しようか迷ったが朝6時が満潮で、もう一度夜明け前に時合が来る。寝てはいられない、午前2時から再び竿を出した。ハマフエフキを出した釣り座は満潮から下げが時合のようなので沖から上潮に乗って魚が回遊しないかと午前3時半前に先端側へ移動した。竿を出して間もなく、PE3号でイカ短を遠投していた竿に小刻みなアタリが出た。合わせると乗っているようで、小さなショゴ(カンパチの若魚)だった。明るくなってから泳がせ釣りの餌に使えないかとバケツに入れ様子を伺っていた時、打ち返したPE3号の仕掛けがまたアタる。今度は1発気持ちよくドラグを鳴らして止まった。フエダイのアタリのような感覚だった。いい魚だろうと期待して合わせると予想外にスピード感のある引き込みで横に走る。何が掛かったのだろうか。強い引きではないのでラインを出さず慎重に寄せてくると青くて細長い魚が浮いてきた。まさかブッコミ釣りでブリ?と驚いたが玉網で掬い上げると自身初魚種のツムブリでさらに驚いた。サイズは60cm。夢中でツムブリを撮影していると網の中で大暴れして玉網とリールのハンドルが絡まってしまった。解こうと下を眺めていると、今度はフエフキタックルが勢いよく浮き上がる。作業を中断し急いで尻手を外し合わせを入れると先程よりも重みを感じ、ゴゴゴン、ゴゴゴンというあまり経験したことのない引き。PE8号にハリスは30号。ゴリルドの敵ではないと竿を立て一気に巻き上げると先程より一回り大きいツムブリが浮上した。玉網が使えないのでラインを掴んで陸に引き上げた。サイズを測ると80cmに達していた。


このあともう一度PE3号竿にアタリが出たがすぐに離されてしまった。時間は3:35分から3:50分の間、たった15分だけの出来事だった。空が白み始めた頃には群れは去ったのか全くアタらなくなった。この釣果に満足して明るくなる前に納竿し、宿へと戻り絶品のツムブリの刺身を食べ、他の魚の下処理も終えた。大変納得の行く釣果に、また来ます!と宿のオーナーに告げ、友人との別れを惜しみつつ14時のフェリーで静岡に帰宅したのであった。

タックル
メイチダイ、ツムブリ60cm
竿:15サーフリーダーの405cx-t
リール:パワーエアロ プロサーフ
道糸:スーパーXワイヤーx8 3号+ナイロン12号5m
ハリス:ナイロン12号、市販カレイ仕掛け「キャノンボール」(メイチダイ)
針:タマンスペシャル20号
餌:イカ短
ハマフエフキ、ツムブリ80cm
竿:15サーフリーダー405cx-t
リール:オルルド釣具 スーパーゴリルド10000
道糸:オムニウム8号+ナイロン40号1ヒロ
ハリス:ナイロン30号
捨て糸:ナイロン12号
針:タマンスペシャル22号
餌:イカ短