
伊豆半島周辺でのハマフエフキ釣果情報は近年格段に増えた印象がある。個人的にハマフエフキを狙い始めた10年程前に比べて大きく変わった状況としては小型のハマフエフキの釣果数が多くなったと感じる。特にここ数年は手の平サイズから40cm程の若魚が10月以降にフカセ釣りなどで数多く釣られていて、年平均水温の上昇により西伊豆にすっかり定着したと考えている。私自身も2年前から釣果が上向き、周年通して西伊豆の比較的入釣しやすいポイント各所で大型のハマフエフキを釣り上げることができた。その背景があり、険しいルートを進む地磯への入釣からは遠ざかっていた
7月に知人からハマフエフキを狙いに田子の地磯に私と一緒に入釣したいとの連絡を頂いた。その時すぐに思い出したのは金子和浩さんが田子地磯で竿を出していた写真での勇姿だった。過酷な磯道に気が引けて入釣したことは無かったが、私の中で西伊豆の大物投げ釣りの聖地の一つである場所だという想いがあり、誘ってくれた知人に感謝しながら二つ返事で同行を約束した。当日の7月30日は磯道へ続く遊歩道を14時頃から歩き始めた。田子から堂ヶ島、松崎方面を見渡せる山々へ繋がるハイキングコースを進む。投げ釣りタックル一式を背負っての山登りは非常にきつく、滝の様に汗が流れる。早速熱中症の症状が出始め、同行者もグロッキー状態で長時間休みを入れながら進む。途中道に迷いながらも遊歩道から荷物を2度に分け到着。全ての荷物を下ろし切ったのは17時だった。磯には日陰がなく、同行者は崖の上の林で休憩し、一度飲み物を取りに駐車場へ向かった。私はその間先に釣りを開始。明るいうちに崖の上から目視で確認できる沈み根をチェック。更に錘をキャストし海底を探ってみたところ、30m程先まで水深の浅いハエ根が張り出し、その先が深い様子。根が無さそうな地磯右側から正面に子ムツを付けた仕掛けを60m程にキャスト。仕掛けを少しサビいて根の有無を確認。根の感触が無いのでそのままアタリを待つ。手前の根側での根ズレが気になるので竿を高く突き上げ三脚に置く。入釣ルートの険しさで私自身も疲労困憊。日没後から集中したいと竿を一本だけにしてドラグフリーでアタリを待ちながら休憩していると、開始間もなくして強烈なドラグ音が鳴り響いた。慌てて竿を手に取るとすぐに本命とわかる高速ファーストラン。手前に広がる目視で確認できるハエ根を恐れてラインを送りしばらく魚を走らせる。沖に岩礁があるのかは未知だったが、魚が根に入って止まることはなく走りが止まったので、大きい根がないことを確信し、ドラグを少し緩めでやりとり。魚が完全にラインを出さなくなったところで竿を立てて一気に巻き上げ開始。しかし手前のハエ根を交わしきれず一度魚が根に入り込む。ハマフエフキが根に入り込んだ時は、ラインのテンションを緩めてしばらく待つとすぐに出てくる傾向があるので実践。少しラインが出されたところで瞬時にドラグを締め巻き上げを開始。手にゴツゴツと根に擦れる感触は来たがブレイクすることなくハエ根を超えた。上がったのは50cm程とそれほど大きくないサイズだったが、明るい時間に本名をキャッチできて一安心。

同行者に釣果報告をすると俄然やる気が湧いた様で、即座に釣りの支度を済ませ夜釣りに突入。釣り座が狭いため1人あたり竿2本体制で竿を並べた。次のアタリは19時40分頃、満潮から下げに入った直後、1尾目を釣り上げたポイントに投げていた竿が海面に向かって倒れながら鋭いドラグ音。即座に竿を手に取り合わせを入れた。強烈な引きを高く突き上げた竿のしなりで交わす。やはり手前の根に擦れる感触があったが、根に潜られることはなくハマフエフキを釣り上げた。仕掛けを投入し直し、魚の撮影をしていると10分もしないうちに竿先が揺れ始める。ドラグが引き出されはしなかったが、合わせを入れると再度強烈な引き込みで3尾目のハマフエフキを仕留めた。どうやら地磯右側正面の最初にキャストした場所が回遊ポイントらしく、そこだけアタリが集中する。早々に満足した私は、ハマフエフキ初挑戦の同行者に釣り座を譲る。直後からハマフエフキのアタリが続き、相当数の個体が入っている様子。何度かバラしてしまったが、その都度ドラグ調整や合わせをレクチャーをする。そして22時を過ぎ、遂に人生初となる63cmの良型ハマフエフキを釣り上げることができた。同行者は同ポイントでアカハタも釣り上げた。初めてハマフエフキを釣り上げた人の歓喜の瞬間と感情が込み上げる笑顔は見ているこちらも感動する。自分が初めて釣った時の気持ちを思い出される。私は釣りの喜びにどっぷり浸かる人の笑顔が見たいのだ。山道の険しさで疲労困憊の中、よく釣りが出来、釣果を上げられたと今になっては思う。満足感と疲労で、日付が変わる頃に早々に納竿した。初めて食べたハマフエフキはとても美味かったそうだ。
この日以降は1度だけ、8月21日に単独で深夜から入釣。夜中の2時半頃に60cm級のハマフエフキを1尾釣り上げた。潮の濁りと、産卵期を迎えた状況であまり狙いに適さないと考えていた中での釣果で、ポテンシャルの高さを伺わせた。




タックル
竿・SHIMANO 14サーフリーダー405cx-t / オルルド釣具 スーパーゴリルドⅢ
リール・SHIMANO パワーエアロ プロサーフ / オルルド釣具 スーパーゴリルド10000
ライン・PE4号(パワーハンター)PE8号(オルルド釣具 ストロング)
ハリス・バリバス16号
針・ふかせスルルー20号
餌・子ムツ1尾がけ