
西風が吹き荒れる冬の伊豆半島。この1月から3月にかけては投げ釣り不毛のシーズンと通説がある。しかし私は疑問があるのです。
南方系の魚であるハマフエフキは冬季に深場落ちは果たしてするのか??
タマンのメッカ、沖縄や高知和歌山方面の釣果情報を調べてみても、どうも深場落ちをする魚でもなさそう、そして低水温でも釣果が上がっているという話もある。
これはあくまで予想だが、産卵を控えた梅雨前から初秋にかけては浅瀬や湾奥まで接岸し、晩秋から冬季にかけてはやや深い岩礁付近で越冬しているのでは無いかと考えている。
磯場の沖の砂地でやりとりをすれば細糸でもキャッチはできるはずと考え、PE3号をリールに巻き準備をしていた。
前日まで約1週間にわたり西からの強風で大荒れだったが、当日の午前中から収まる予報であったので急いで支度をして西伊豆へ向かう。
磯へ入釣する前はまだ海の状況が良くなっているか分からず、駐車場から近い堤防で様子を見ることとする。時刻は15時半。スーパーで購入したイカの切り身を漁港の航路へ向け遠投。上潮に乗じて回遊してくる魚に狙いを絞るがアタリはなく餌も取られない。まさに冬の海といった具合だ。
イカの切り身を交換しながらキャストを繰り返していると17時頃、ようやく魚の当たり。竿先がカクカクするだけでドラグは鳴らない。しかし合わせを入れると強烈に走り込む。抵抗が止まると今度は首をガンガン振り回す。これはドチザメの引き。しばらくすると大人しくなり重たくなる。意外と大きく玉網ギリギリで収まった。140cmであった。

しかしこのドチザメの釣果で背中は押された。ここ数日の荒天で魚は餌を食えていないはず、きっと大型の魚は活発に餌を求めて泳ぎ回るはずだと感じた。さらにこの釣り場ではドチザメは釣ったことがなく、広範囲に泳ぎ回っているのだと思い込み地磯へ向かった。

移動先の釣座。高台に位置するこの釣り座はPE3号で約100mほどキャストできる。取り込みはかけてから考えようと安易に考え小アジを針に刺し遠投。
干潮から下げに向かう時間帯、こちらもなかなか餌を取られないが、それこそが大型魚を待ち伏せるのに最高の状況だと私は考えている。とにかく新鮮な餌を投入しておきたいのでマメに打ち返す。
干潮から潮が上げ始めたタイミングで小刻みに竿が揺れだす。上がったのは小さなウツボ。仕掛けがぐちゃぐちゃにされた。寒さも相まって仕掛けを直すのも億劫。それでも地合いを逃したく無いので組み直しキャスト。時刻は21時半を回った頃、キャストし直した竿先が軽くお辞儀した瞬間、ジィィィィーーっとドラグが悲鳴を上げた
来た!これはいいアタリ!
細ラインに配慮して最初のツッコミは盛大に沖へ走らせる。この釣り場の沖は砂地。そこでバテさせる作戦。そこからは引き込みが弱くなってきたのでポンピングで少しずつ寄せる。
左の根際スレスレに走るラインにヒヤヒヤしながら高台の釣り座から低い所まで崖を降りていく
いや、落ちていく
滑落です。2m程
ズボンがビリビリに破れ右手も突いたがアドレナリンで痛みなし。そのまま背負っていた玉網を用意。やがてヘッドライトで照らす海面に浮上したのはハマフエフキ。
ほらやっぱいた!冬でもいる!!


サイズを測ると65cm。特別大きい訳では無いが伊豆の冬季に貴重な1尾。価値が違う。
そしてもう一つ違うのは、陸に10分近く置いて撮影していたがタイドプールに入れると泳いだ。最初は弱っていたが、徐々に回復していった。
その様子を見て感極まり、そのままリリースをした。元気に泳いでいった。
また夏の夜に70cmオーバーとなって伊豆夜釣りを盛り上げておくれと願いを込めた。
この釣果で満足し釣り場を後にした。冬季は釣れないというのはただの通説で、単に釣り人が少なくなるだけなのでは?という疑問はこの釣果で少しヒントになった気がする。
今後も時期的な開拓もしてみたいと熱を燃やして夜釣りに励もう。
タックル
竿:shimano サーフリーダー405cx-t
リール:パワーエアロ プロサーフ太糸使用
道糸:PE3号+テーパーナイロン12号10m
ハリス:バリバス12号
針:管付きチヌ12号
餌:小アジ1匹